「終わった!」と思った瞬間、あなたならどうするか。
剣道では、相手を打った後も油断せず、構えを保つことを「残心」という。
打ち終わりで気を抜いた瞬間が、実は最も危うい瞬間だからだ。
剣道に限った話ではない。
テストが終わった後、行事が終わった後、たとえば掃除が終わった後——「終わった」と気が抜けて、椅子をガタンと引いたり、道具をほうったりしていないか。
この「終わりの気の緩み」については、木登り名人も同じことを言っていた。
「終わった後」にその人が出る
学校の現場で20年近く見てきた。
「終わった後」の行動で、その人がどういう人かだいたいわかる。
テストを返してもらった瞬間に、テストをすぐ机の中に押し込む。
体育が終わって体育館を出るとき、使った道具をそのままにして教室に戻る。
行事が終わったとき、片づけをしている子に気づかない。
残心のある人間は違う。
テストを受け取ったら問題と答えを確認する。
体育館を出るとき、やることが残っていないか後ろを一度振り返る。
行事の後、自分の担当以外にも目が届く。
これが自然にできる人は、信頼される。
なぜか。終わりをきちんと終えられる人は、丁寧さが違うからだ。
体育館での片づけを例にすると…
①特に片づけを手伝わずに帰っていく
②「手伝いましょうか」と声をかけてくれる(手伝うかはこちらの対応次第)
③何も言わずに手伝ってくれる
どのタイプの子も、教室にはそれぞれいるだろう。
①は、やはりちょっと残念な感じ。
②は、声をかけてくれる優しさがあり、気配りができるタイプ。
(ただ、状況にもよるが、手伝ったほうがいいのは見て分かる気もする)
③は、片づけている側からすれば感謝しかない。
ちょっとした行動の差に、裏側にあるその人の性格が見え隠れするのはよくわかると思う。
こういった心がまえは、折れそうになったときの立ち直り方にも通じている。
残心を意識するための「終わりの数秒」
残心は、特別なことではない。ちょっとした心配りが大事なだけだ。
①最後まで丁寧に
自分のとっている行動を、最後まで丁寧にやり切ろう。
掃除道具を丁寧にしまう、ゴミを最後まできれいに片づける。
その丁寧さが、美しさに変わる。
②周りを少し見回す余裕をもつ
少しだけでいいから、周りを気にしてみよう。
何もなければそれでいいし、困っている人がいれば助ける。
それだけで、少し世界が平和になる。
①②に共通するのは「終わりの数秒」だ。
その数秒の気遣いが、その人の印象を大きく変えてくれるだろう。
ただ、難しいのは「いつも丁寧にやればいいのか」というと、そうでもないということ。
自己犠牲で自分が苦しくなってしまっては、長続きはしないからだ。
自分に余裕があってこその、残心。
だからこその、数秒。
終わりの数秒を大切にしていれば、自然と整ってくる。
大きなことではなく、ちょっとしたことを続けてみよう。
ちょっとしたことの積み重ねが、やがて大きな信頼になる。複利の考え方を習慣に当てはめると、さらに見えてくるものがある。
・終わりよければすべてよし。 シェイクスピア(劇作家)
