ある校長の言葉です。
駅伝部がまだ盛んなころ、季節限定の駅伝部は生徒にとって
「やってもやらなくてもどちらでもいい」活動でした。
寒い冬空の下、ひたすら走り続けるだけの部活。
正直、文化部出身の自分には何が楽しいのかよくわかりませんでした。
なので、新年に行われる箱根駅伝も見たことがありません(笑)
あるとき、吹奏楽部顧問だった自分にすごい話がとんで来ました。
「駅伝部の顧問をやってくれ」
通常の部活は4階の音楽室でやり、下校完了後からボアコートを着込み、
グラウンドで走る生徒を見守る3年間が始まりました。
今考えると、そうとうクレイジーな提案だったと思います。
つらい駅伝部へ自主的に集まってきた生徒だけに、とてもすごい子たちばかりでした。
お互いに切磋琢磨しあい、声をかけあい、絆を大切にする。
大変な時期ではありましたが、その現場を生で身近に感じられたのはよい経験でした。
すると、不思議なことが起こり始めます。
全員とはいいませんが、大変なはずの駅伝部の子たちの成績が上がっていくのです。
部活ではお互いを高めあい、学習では学力が上がっていく。
「やってもやらなくてもいいこと」に全力で取り組んだ生徒は、
自然と自分の力を高めていったのです。
自らを挑戦の場に置く者は、自らを高める。
その校長は体育が専科だったので、こういう現象をよく知っていたのだと思います。
個人的には「やってもやらなくても~」という言い方が少しひっかかっていましたが、
言いたいことは身をもって理解できました。
生徒に強要できることではありませんが、
教師が挑戦することの価値を知っていることに、価値があるのではないでしょうか。
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