先生のための仕事術 ~困難は分割する~

仕事術

この言葉を初めて知ったのは、「金田一少年の事件簿」。
金田一少年があるトリックを解き明かす中で、「元はマジック用語だ」と言っていた気がします。
まとめてやるには難しくても、バラバラにすれば1つ1つの難易度は大きく下がる、ということです。

同じ職場で、仕事の早い先生もこれと全く同じことを言っていて、驚きました。
(その人はマンガを読むようなタイプではなかっただけに)
仕事の早い人は、この「困難は分割する」を知ってか知らずか、使っている気がします。

大変なことは1回でやるから大変!細切れにして片づけよう

30人分の所見も1日で3人書けば10日で終わる

学期末になると職員室からため息が多く聞かれるようになります。
テストの採点、成績付け、そして通知表の所見
一度、校長に「所見は『懇談済み』で終わりになりませんか?」と申し出ましたが、
「ダメだ、それはありえん」と一蹴されて終わりました。
学校はトップダウンの組織なので、そう言われたらそれでおしまいです。

そこで、誰もが一度は考えるのは、これでしょう。
「1日3人の所見を書けば、10日で終わるじゃないか、楽勝!」

だいたいは失敗で終わるこの目標を、現実にしてしまえばいいのです。

仕事をこなす上でこの考え方は、基本中の基本でもあります。

教員の仕事は時間のかかるものが多いので、
それらをいつも一気に片づけようとしたら時間と体力がもちません。

だからこそ「困難は分割する」。これをいかに現実化するかがポイントです。

計画を机上の空論にしないために

いろいろやり方はありますが、いくつか例を挙げます。自分に合うものを使いましょう。

①準備と作業を分ける
 所見で言うなら、生徒の様子をメモしておくの記事で書いたような準備をします。
 情報収集は情報収集、書く作業は書く作業で分けたほうが簡単です。
 テスト作成なら、出したい部分をまとめるのとテスト作成をわけましょう。

②朝の時間を活用する
 クリエイティブな活動は、起きてから4時間ほどしかできないそうです。
 授業と部活が終わったあと、疲れた体と脳では「作り出す」作業は難しくなります。
 午前中に所見やテストなどのクリエイティブな作業、午後は単純作業に回しましょう

③短くてもいいから取り掛かる時間を作る
 10分、集中する時間を作って作業を始めてみましょう。
 所見なら、とりあえず1人分を書くつもりでOKです。
 とりあえず書く、とりあえず埋めることで意外と作業は進んでいきます。

④過去のデータを使う
 所見の例なら過去の所見のデータ、テストなら過去問を参考にしましょう。
 委員会、係、行事、清掃、授業の様子など、所見パターンの宝庫です。
 過去の遺産を上手に使うことで、仕事の時短にもつながります。

⑤まだ誰も初めてないころからスタートする
 例えば2学期末の所見を書くのに、体育大会が終わった直後に書いてみましょう。
 記憶も鮮明、メモも何もなくても書けるはずです。
「所見の時期になったら書く」まで待つ必要はありません。できるときに、できる作業をしましょう。

・・・と、とりあえず5つ書いてみました。
時間的な分割、量的な分割ができれば、作業は楽になるはずです。

ポイントは、〆切ギリギリから始めるのでは無理な点です。
準備を早くすることが、一番のコツかもしれません。

たしかに1回、1日で終わらせることもできるけど…

1人5分で所見を書くとして、35人学級なら、5分×35人=175分(約3時間) で完成です。
テストもがんばれば6時間くらいで完成するでしょう。

ただ、それだけまとまった時間と集中を、教員は作り出せるだけの余裕がほとんどありません。
やるとするならば、部活の終わったあとに、授業準備をして、そこからスタートです。
18時を回ったあたりから始めたとして、日が変わるか変わらないかまで仕事をする必要があります。

加えて、所見もテストも必ず「詰まる」ときがあります。
理想値の1.5倍くらいの誤差は見ておくべきでしょう。

そして、少なくとも自分はもうそんなゴリ押しの働き方をしようとは思いません。
大変なことは分割をして、なるべく楽に仕上げてしまいましょう。

まとめ 〆切から逆算して計画を立てられるようにしよう

困難の分割をするにあたり、まずは〆切から逆算する必要があります。
全体像が見えていなければ分割すらできませんからね。

忙しいときはそちらに集中し、少し手が空いたときがポイントになります。
「まだこの仕事はやらなくてもいいか」と思った時にやってしまうとよいでしょう。

補足 5分でいいから取りかろう

「やる気は行動するから出る」にも書いた通り、すべては行動から始まります。
5分でいいから作業に取りかかると、そのあとは自然と作業が進むことも珍しくないです。
まず5分!と思って仕事を始めてみましょう。

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