左足のアキレス腱が切れても車は運転できる
処置室では、初めてのギプスをつけてもらった。
足の角度を決めて、最初に綿みたいなものを巻いていく。
その上に、ギプスの元にお湯をつけてさらに巻き付ける。
少し時間がたつと、それが固まって立派なギプスの出来上がり。
技術の発展ってすごいなぁ…と変なところで感心してしまう。
それから松葉杖を貸してもらい、学校へ戻った。
断裂したのが左アキレス腱だったので、車の運転はなんとか可能だったのが不幸中の幸い。
車が運転できないと、片道30分かかる通勤がどうなっていたことか。
(2年後にこれを実感することになる)
特に問題なく車を運転して、家に戻ることができた。
風呂にはどうやって入るんだ?
家に着いて最初にとまどったのは、外で使っていた松葉杖と左足が汚れたままで家の中に入ること。
でもそんなことは些細すぎて、すぐにどうでもよくなった。
問題は入浴。
①まず危険なのは、片足での移動なので転んだら大惨事になる。
②次に、足を湯船に入れずにどう入るか?
③さらに風呂に入って汗をかくと、ギプスの中が蒸れてかゆくなる。
本当に問題しかない。
①⇒とにかく急がない。片足の状態ですべると超危険なので、
風呂の上に後付け可能な取っ手をつけてもらった。
しっかりグリップしてから動くことを心掛ける。
②⇒大きなゴミ袋に足をつっこんで、ガムテープで巻いてみた。
しかしあっという間に袋の中へお湯が侵食。あやうくギプスの中に入るところだった。
何か他の方法を考えねば。
③⇒長湯は危険。軽く湯船につかり、汗を流して頭を洗うくらいにする。
風呂から出たらギプス周りをちゃんと乾かす。
ひとっぷろ浴びるだけでこの始末。
今まで当たり前のように過ごしていた日常が、こんなにもハードル高くなるとは思わなかった。
そのあとは、体力と気力を使い果たしたので、すぐ寝ることにした。
しかしこの夜、地獄を見ることになる。
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